日語の“会話”(2)

 

 『日語』の“会話”コーナーについてですが,“使いにくい”,“どうやって教えたらいいのか分からない”という声がよく聞かれる.私もそう思う.でも,どうしてだろう?

 まず確認しておきたい点は,

・今の『日語』で,初めて“会話コーナー”が設けられた.

ということ.一つ前の教科書と比べると,すごく良くなったという事実をひとつ心に留めた上で,以下に問題だと思う点を書いてみたい.

 会話の指導例を,“教案”の形で紹介した 指導例の頁参照.この教案を作るための話し合いで,でた意見感想を書き出してみると以下のとおり.

1.指導書に,“会話”コーナーの指導法がかかれていないこと

 教師用指導書を見てみると,教科書の“解説”を補填する内容がかかれているだけで,その課の指導目標や練習の目的が書かれていない.

 実際の授業では,“本文”が主に教えられていて,“会話”は(先生によって異なるが)
・そもそもしない(省く)
・その課の本文が終わった後,“会話”の説明をする(1コマとらない)
・1コマとって“会話”の説明をする,練習をする

と様々な扱われ方をしている.

 “会話の機能”を意識している先生は(知っている範囲では)少なく,読解教材である“本文”と同じように,新出単語・文法・文型を解説し,暗記させるというパターンで教えられている.つまり,“会話の機能”に焦点が当てられることない授業になっている.

 指導書に,会話の指導例,各課の指導目標,練習の目的が書いてあれば便利なのにと思う.

 

2.指導目標とずれた練習問題をさせている課がある.

 例えば,第15課は,誘い「〜ませんか」がこの課の指導目標なのに,会話の練習2が「〜ましょう」のものになっている.

 今のところ,自分で各課の習得目標を考えなければならない.では,考える手立てとして何があるだろうか.第16課指導例の“授業の前に”1では以下のように書いた.

1.課で勉強する会話の機能は何か考える. 
調べる方法は…
@「会話の練習」を見てみる(練習2やロールプレイ).
A巻末のコミュニケーション一覧を見てみる.

 調べる方法として,@に「会話の練習」を見てはどうかと提案したが,時々指導目標の表現と練習問題が一致していない場合があるのだ.単なるミスなのか,それとも指導目標の提示が曖昧なのか,教師に分かりにくい.

3.段階を追った練習が掲載されていない.

 教科書に載っている練習問題を見てみると,だいたい
・練習1…会話の穴埋め
→教科書の本文を見て生徒は書き写している.もしくは,事前に教師が会話文を暗記させている.
・練習2…代入練習
・練習3ロールプレイ
となっている.例えば,第1冊第15課の“会話の練習”は以下のとおり.

1.下の会話を完成しなさい.
  (1)周明:先生,ちょっとお願いがあるんですが.
    水谷:                     
    周明:先生のワープロ,明日の夕方まで           
    水谷:                     
  (2)周明:では,明日の夕方までお借りします.
    水谷:                     

2.下線の部分を替えて言いなさい.
  胡 :明日の夕方まで借りてもよろしいですか.
  松本:はい,いいですよ.(はい,どうぞ)
  @ちょっと先生の家へおじゃまする Aわたしもいっしょに行く
  Bちょっとノートを借りる        Cもうしばらくここに残っている

3.指示に従って,ロールプレイをしなさい.
  登場人物:中国人生徒と日本人留学生.
         中国人生徒が自分の発音を直してくれるように日本人留学生のお願いする.

 代入する部分を徐々に拡大するような段階をとって入なかったり,断る時の応答がかかれていなかったりする.生徒に,自分で会話を考えるような提示がされていない.

 授業では練習をどうさせればいいだろうか.第16課の指導例では,以下のような練習を紹介した.(段階を追った練習については,別項で紹介する予定)

@最初は単純な代入練習で,口慣らしをさせる.
     を借りてもよろしいですか.
  
※教師が  部分を口頭で言ったり,実物を使ったり,生徒に自由に言わせる. 
A次に代入部分を拡大し,会話を応用させていきます.
       てもよろしいですか.  

例:教師:窓を開けたいです(絵や口頭,動作).
→生徒:窓を開けてもよろしいですか.
教師が与える文の例:質問したいです.座りたいです等
B今度は,応答も含めて,代入練習をします.  
A;すみません,ちょっと…
B;はい,なんでしょうか.  
A;      てもよろしいですか.  
B;Yes →ええ,いいですよ.    
  No →ちょっと・・・        
例:(教師は生徒を二人指名します.)
教師:Aさんは,暑いです.Bさんと会話の練習をしてください.  
生徒A;すいみません,ちょっと・・  
生徒B;はい,なんでしょうか.
生徒A;窓をあけてもよろしいですか.  
生徒B;Yes→ええ,いいですよ
     No→今風が強いので開けないで下さい.
生徒AとB;(自由に会話をさせる)  

 最終目標が“暗記”である先生には,教科書の“会話文”を応用のための土台だという発想が生まれにくい.また,会話の練習に“段階を設ける”という発想も持ちにくい.これも,指導書や教科書に,元から説明なり練習なりが載っているといいのだが,今のところ無い.

4.ロールプレイに関する説明がない.

 改訂版の日語から“ロールプレイ“が初めて取り入れられた.よりコミュニカティブな活動ができるようにと導入されたものだが,“ロールプレイ”のやり方を説明していない.“ロールプレイ”が何であるか知らない教師がたくさんいるので,まず,これを教師に説明なり指導なりがされなければならないと思う.

5.ロールプレイの指示があいまい.

 下に2課分のロールプレイを抜粋してみる.

●第1冊第3課
3.(1)登場人物:同じ年齢の人.久しぶりに昔の同級生に会って,今の勉強について聞く.
  (2)登場人物:先生と生徒.生徒が先生に分からないことについて尋ねる.先生が答える.
  (3)登場人物:年が違う人.年上の人が年下の人を誉める.年下の人が謙遜をする.

●第1冊第9課
3.(1)登場人物:生徒と生徒
  (2)登場人物:日本人留学生と中国人生徒.
          何かについて相手に謝る.それを聞いて答える.

とある.まず,状況指示がないか曖昧なために,生徒は何をいいのか分からないかもない.日本語以外の負担をかけることになる.

 また,形式が課によって変わっているので,混乱を招きやすくないだろうか.第3課では,三つの問題が(1)(2)(3)と括弧で,第9課では(1)に登場人物の説明,(2)に状況提示がしてある.統一したほうが分かりやすいと思う.

 課によっては,明確な状況を提示しているロールプレイもあるので,それを例に実際に教室活動をし,先生や生徒に“ロールプレイ”の練習の意味と,やり方を提示し慣れてもらわなければならないようだ.

 文頭にも書いたように,一つ前の教科書と比べると内容はよくなっているらしい.それに,今初等中学の教科書改訂に伴い,高級中学の教科書も何年後かには改定されることになっている.新しい日本語大網には,コミュニカティブに!と明記されている.

 教科書が新しくなっても,現場の先生にその変化や,新しく取り入れたものの意義を伝えなければ中々効果的には使用されない.指導書も変ればいいなと思う.

 《最後に》 ニューズレター作成を通して,以前から中等教育に関わっている方たちから話を聞く機会をえた.Webで公開することで,たたき台にしてもらえれば幸いです.また,他にも色々意見感想,アイディアがある方は,ぜひ教えてください.

chickpea@mx12.freecom.ne.jp


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